観葉植物の定番品種!ゴムの木の人気の種類
丈夫で育てやすいゴムの木は、観葉植物の代表格とも言える人気品種です。
初心者にも育てやすいという管理面でのメリットだけではなく、スタイリッシュな樹形や美しい葉は鑑賞価値が高いため、おしゃれなインテリアとしても人気となっています。
そんなゴムの木ですが、人気の高さから品種が豊富に揃っているので、購入しようと思ってもどれを選べば良いものか迷っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、育てやすさとおしゃれさを兼ね備えた、まさにインドアグリーンに最適なゴムの木について、人気の品種や育て方をご紹介していきたいと思います。
ゴムの木とはどんな植物?
ゴムの木とは、クワ科フィカス属に分類される観葉植物の総称です。
自生地は熱帯・亜熱帯地域で、生長すると60メートル以上もの樹高になるものもあります。ゴムの木の種類は800種類以上にも及ぶと言われており、品種により株の大きさもまちまちです。なかにはテーブルの上などに飾れるような1メートルサイズのミニマルな品種もありますよ。
ゴムの木が分類されているフィカス属ですが、フィカスとはラテン語で「イチジク」の意味を指す言葉となっております。結び付けづらいと思いますが、実はイチジクとゴムの木は、同じ仲間なのです。
天然ゴムの原料になっているゴムの木は、切り口から白い樹液が出ます。粘着性のあるこの樹液は「ラテックス」と呼ばれるゴムの原料になっています。
天然弾性ゴムの原料とされているのは「パラゴムの木」ですが、こちらは観葉植物としては出回らず、「インドゴムの木」などが観賞用の品種として主流です。
日本でのゴムの木と言えば、一般的にインドゴムの木を指しています。
インテリアグリーンとして大人気
育て方がとにかく簡単で、観葉植物を初めて育て始める人の入門植物としてもおすすめできるほど、ゴムの木のお世話は易しいです。
インテリアグリーンとしても大人気である理由には、管理の手軽さも理由のひとつになります。
先述したように、ゴムの木にはとにかく豊富な種類が存在していますので、同じゴムの木の中でも、葉の形や葉の色合い、樹形やフォルムなど、自分に気に入った形の株を選ぶことができる自由度の高さも人気のポイントです。
丸みを帯びた葉は眺めていると和やかな気持ちになって癒されますし、みずみずしい緑色の葉の他にも、クールなダークグリーンや鮮やかな赤い葉など、バリエーションがたくさんあります。
従来の人気品種からも、続々と改良品種が生まれているので飽きることがありません。
また、自然に育った樹形も素敵なのですが、ゴムの木の幹の柔らかさを活かしてデザインされた曲がり幹のものには、特に見応えがあります。
同じ品種でも、幹の曲がり具合によって雰囲気が変わりますので、オンリーワンを求める個性派好きの方にはたまりませんね。
樹液には注意
ゴムの木からは白い樹液が出てきますので、剪定時などには直接肌に触れないよう、手袋などを着用して作業しましょう。
樹液が肌に付着すると、肌が弱い方や体質などによって、湿疹や痒み、かぶれなどを引き起こします。
粘着性のある樹液は、衣服や床などに落ちるとなかなか取れません。お気に入りの服などに付いてしまうとショックですから、剪定の作業ではエプロンを着用して、床には新聞紙を敷いておくことをおすすめします。
ゴムの木の人気種類をピックアップ
近年では、ウンベラータやアルテシマ、ベンガレンシスなどが特に人気のある品種ですが、他にも魅力的なものがたくさんありますよ。
育てやすさとおしゃれさ、可愛らしさを持ち合わせたゴムの木には、長く人気がある品種ばかりです。
ここからはゴムの木の人気品種をピックアップしてご紹介していきます。
インドゴムの木
北西インドを原産地とする「インドゴムの木」は、観葉植物ブームの初期から人気がある定番品種です。観葉植物として広まった、いちばん最初のゴムの木だと言われています。
インドゴムの木から誕生した改良品種や、突然変異種などもたくさんありますよ。
自生するものでは30メートル以上にも育つことがあるインドゴムの木ですが、室内で育てやすいサイズ感のものもありますので安心してください。
丸みのある葉が愛らしく、根強い人気を誇っていますが流通量が減っていて、次にご紹介するソフィアという品種が、現在では代替種として広まっています。
インドゴムの木から改良された品種には、「デコラゴムの木」があります。デコラゴムの木は枝変わりの品種で、落ち着いた深いグリーンの葉色と、厚みのあるチャーミングな葉が魅力です。
「アサヒゴム」もインドゴムの木からできた品種ですが、こちらは突然変異種になります。
葉の縁に白い斑模様が入っていて、インドゴムの木よりも葉はちょっと大きめです。
フィカス・エラスティカ・ソフィア
「フィカス・エラスティカ・ソフィア」はインドゴムの木の矮性種で、インドゴムの木と比べてみると若干葉が小さくなっていますが、肉厚な葉とつやつやとした質感はそのままです。成長のスピードもゆっくりになっているので、室内向きの品種になります。
ゴムの木の入門編としては、手始めにおすすめできる品種です。
マルバインドゴム
「マルバインドゴム」は、ゴムの木の品種でもいちばん丈夫だと言われています。一般的には「デコラ」の名称で流通しています。肉厚な葉は深みがある濃いグリーンで、とても美しい色合いです。
インドゴムの木の枝変わり品種で、0度まで耐えられる耐寒性と、優れた耐陰性を持ち合わせています。ただ、生命力がある分、生長速度もそれなりなので、適度に剪定作業が必要です。
管理にまだ自信がない方は、生命力が強く乾燥にも負けないマルバインドゴムから挑戦してみるのも良いでしょう。
このマルバインドゴムの改良品種が、「デコラ・トリコロル」です。葉は中心へ向かうにつれて緑の濃さが強まっていき、縁にはクリーム色の斑模様が入っており、鑑賞性がとても高い品種になります。
流通量が少ないのに対してトリコロルを愛するファンが多いため、入手するのはやや難しいかもしれません。
フランスゴムノキ
フィカス・ルビギノーサの名前でも流通していますが、一般的には「フランスゴムノキ」と呼ばれています。最近人気が出てきた品種で、小さめの丸い葉が愛らしいですよ。
名前にフランスと入っていますが、原産地はフランスではなくオーストラリアです。フランス人の植物学者が発見した品種なので、国名が名前に入っています。
観賞用では手頃なサイズ感のものが多いですが、自生するフランスゴムノキは10メートル以上にも育ちます。
葉をよく見てみると、茶色い毛でうっすら覆われています。この毛色から鉄さびを連想したため、学名には「鉄さび色の」という意味を持っている「rubiginosa(ルビギノーサ)」が付けられました。
育てやすい丈夫な品種ではありますが、急な環境変化には弱く落葉してしまうので、置き場所をなるべく固定して、頻繁に移動させないよう注意が必要です。
曲がり幹のものが特に人気で、お部屋に飾ることで華やかで明るい雰囲気が生まれます。
フィカス・ウンベラータ
ゴムの木をはじめとする観葉植物にあまり詳しくない方でも一度は見たことがあるほど、大変人気の高い観葉植物が「フィカス・ウンベラータ」です。トロピカルな雰囲気が漂う大きな葉に切れ込みの入っている「モンステラ」や、観葉植物と言えば真っ先に名前が上がるほどメジャーな「パキラ」に並んで、絶大な人気を誇っています。
最大の特徴とも言えるハート型の愛らしい大きな葉が人気で、姿を見れば「この植物か!」と分かると思います。
フィカス・ウンベラータの葉は大きな傘のように見える学名の「Umbellata(ウンベラータ)」は、ラテン語で日傘を意味する「umbella」が語源となっています。
可愛らしい見た目だけではなく、ゴムの木の特徴としての強い生命力を持っており、耐陰性も高いので初心者にも育てやすいのが嬉しいですね。寒さにはやや弱いので、冬の間の管理には注意しましょう。
また、フィカス・ウンベラータのような、丸みを帯びた大きな葉は、風水学的に見ると「陰」の気を持っているそうで、お部屋に飾ることで気の流れを安定させたり、気分を落ち着かせてくれたりする風水効果も期待できますよ。
フィカス・アルテシーマ
大ぶりの丸い葉が可愛らしい「フィカス・アルテシーマ」も、ゴムの木の中では特に人気がある品種です。
やわらかな明るい緑色の葉の縁と葉脈はイエローグリーンのような色合いで、観る人の心が安らぐようなやさしさがあります。
このフィカス・アルテシーマも、インドゴムの木から誕生した品種で、お世話がしやすい丈夫さはしっかりと受け継がれていますよ。
学名でもある「altissima(アルテシーマ)」とは、ラテン語で「最も背が高い」という意味で、名前の由来どおり、かなり生長速度の速い品種です。
このフィカス・アルテシーマに斑模様が入った品種を、「フィカス・アルテシーマ・バリエガータ」と呼びます。「variegata」とは「斑入り」という意味合いです。
斑のないアルテシーマよりも、バリエガータのほうが流通数が多く、こちらが「アルテシーマ」と呼ばれて定着しています。
斑入りのバリエガータが「アルテシ-マ」、斑がないアルテシーマを「アルテシーマ・青」「アルテシーマ・グリーン」と呼ばれる機会も多いのですが、本来は斑のないものがアルテシーマです。呼び方についてはちょっとややこしいので、購入時に間違えないようにしてくださいね。
ショウナンゴム
細長い葉がアジアンテイストなニュアンスを持っている「ショウナンゴム」は、ゴムの木らしいフォルムではないのですが、丈夫な性質はゴムの木そのものです。
改良品種には「ショウナンゴム・アムステルダムキング」という品種があり、「アムステルダム」「アムス」などの呼び名でも親しまれています。
ショウナンゴムとさほど変わらない見た目ですが、アムステルダムの葉は若干幅広いという違いがあります。
生長スピードも改良品種であるアムステルダムのほうが2倍ほど早いので、ショウナンゴムよりも流通数が増えている品種です。
フィカス・バーガンディ
「フィカス・バーガンディ」は、観葉植物としては珍しい色合いの、黒に近いような赤黒い色の葉を持つ品種です。フランス・ブルゴーニュ産の赤ワイン「バーガンディ」を意味しているように、葉の色は赤ワインのような深みがあります。
肉厚の葉は、新芽のうちは赤寄りなのですが、生長するにつれて徐々に黒っぽく変化していきますよ。
別名では「黒ゴム」「ロブスタ」「アビジャン」などとも呼ばれ、モダンな雰囲気が漂う落ち着いたインテリアグリーンとして人気です。「ロブスター」という品種もあるのですが、バーガンディとは異なる品種になります。
インドゴムの木の品種改良によって生まれたフィカス・バーガンディは、性質的には先にご紹介した「ソフィア」に似ていて、生長スピードがゆっくりです。
フィカス・バーガンディのように、葉に赤みがある品種としては「フィカス ・ベリーズ」というものが挙げられます。「赤ゴム」と呼ばれることもあるフィカス ・ベリーズも、観賞価値が非常に高い品種です。
フィカス・ベンガレンシス
「フィカス・ベンガレンシス」は、葉脈が特に美しく人気のある品種で、観葉植物の人気の中でもトップに入ります。
ベンガル地方が原産地のため、「ベンガルゴムの木」の別名でも呼ばれます。他にも、和名では「ベンガルボダイジュ」、原産地では「バニヤンツリー」の呼び名がありますよ。
ヒンドゥー教では「望みを叶える木」とされており、「長寿」という縁起の良い花言葉があります。
葉は明るい緑色で適度な光沢を持っており、生長につれて白く変わっていく幹とのコントラストが爽やかなので、とても見所のある品種ですよ。
どんなテイストの部屋にも相性が良く馴染みやすいので、インテリアとの調和に迷ったときにはフィカス・ベンガレンシスを選んでおけば間違いありません。曲がり幹の商品も人気です。
フィカス・ベンジャミナ(ベンジャミン)
主に「ベンジャミン」の名前で流通している「フィカス・ベンジャミナ」もかなり人気のある品種です。現地のインドやネパールなどでは「聖木」として愛されている木です。
光沢のある小さな葉が特徴で、日本では昭和に起こった観葉植物ブームの際に、フィカス・ベンジャミナが特に流行しました。
ただしフィカス・ベンジャミナは、環境の急激な変化に弱く、落葉しやすい性質があり、そのせいか現在は流通量が減っています。ただ、環境に慣れさえすれば持ち前の生命力の強さを活かしてくれる頼もしい品種ですよ。
新芽は明るい黄緑色なので、先に茂っている緑の葉との鮮やかなコントラストを楽しむことができます。斑入りの品種もあり、種類も豊富なフィカス・ベンジャミナですが、中でも「ベンジャミンバロック」は、葉がくるくると内側にカールしているユニークな姿を持っており、インテリアグリーンとして高い人気があります。
ガジュマル(フィカス・ミクロカルバ)
「フィカス・ミクロカルバ」という名前ではピンときませんが、「ガジュマル」の名前だと、あの個性的な樹形をイメージしやすいでしょう。ガジュマルも、実はゴムの木の仲間なのです。
沖縄では精霊・キジムナーが宿る神聖な木として愛されています。
幹の途中から、空気中の水分を吸収する気根を出すので、まるで小人が歩き出しそうな足のようにも見える個性的な樹形が最大の魅力です。
この気根は個体によって形や大きさ、太さなどが異なりますので、自分好みのフォルムをしているガジュマルを選ぶのも楽しいですよね。
気根がたくさん出ていると、タコの足のようにも見えるので、「多幸(タコ)の木」と語呂合わせをした名前でも愛されています。
観葉植物としてのガジュマルは、テーブルサイズのミニマルなものが主流ですが、自生するものは大きな遺跡を覆いつくしてしまうほどの大きさにも育ちます。
ゴムの木の基本的な育て方
さまざまな品種が展開されているゴムの木は、紹介しきれないほどの魅力的な品種が他にも多数存在しています。ですが、そのいずれもが育てやすい性質を持っているのが嬉しいですね。
ここからは、ゴムの木を育てる基本的なポイントについて、項目ごとに詳しくご紹介していきたいと思います。
品種が違っても、お世話の仕方に大きな違いはありませんので、ゴムの木全般に共通する育て方として、ぜひ参考になさってみてください。
置き場
ゴムの木には耐陰性もありますが、基本的には日当たりの良い場所で管理しましょう。
ただし直射日光や強すぎる日光には弱いため、窓際に置く場合にはレースカーテン越しやブラインド越しに日光が当たるように調整してください。
強い日光にさらされ過ぎると、葉が「葉焼け」を起こして、光合成ができなくなってしまいます。
日陰で管理する場合にも、1日に4時間ほどは日光浴させるようにすると、葉が活き活きと育ち、幹にも元気が出てきます。
日光が不足すると、葉が柔らかくなってしまったり、幹がひょろひょろと頼りない感じに伸びてしまうので、適度に日光浴させましょう。
冬季には、最低でも5度以上を保てるように温度管理をしてください。春から秋の間には屋外で管理している場合でも、屋外で冬を越せる品種もありますが、基本的に冬には室内へ入れてあげましょう。
水やり
乾燥に強い性質を持つゴムの木は、水不足よりも水の与え過ぎによって株を傷めてしまうことが多くあります。
水やりの鉄則として、「土が乾いているのを確認してから、水をたっぷりと与える」ことを忘れないでください。鉢底から水が流れ出てくるほどたっぷりと与えて、水やりにメリハリを付けるのがコツです。
受け皿に溜まっている水やりで流れ出てきた水は、都度こまめに捨ててください。放置しておくと、鉢内の湿度が上昇していき蒸れてしまい、根がダメージを受けます。
根腐れなどにも繋がりますし、雑菌も繁殖しますので、水やりと受け皿の処理は必ずセットで行なうように癖付けましょう。
土の乾燥しやすい夏場には、ほとんど毎日水やりするような状況になるかもしれませんが、土がちゃんと乾燥していれば大丈夫です。
また、霧吹きで葉に水をかける「葉水」も、水やりとあわせて行なうことで、つややかな葉に仕上げることができます。葉の埃が取れることで、病気の予防や害虫対策にもなりますので、積極的に葉水をしてみてください。
冬季には株が生長を止める休眠期に入りますので、春から秋の間よりも、より乾燥気味になるよう意識して育てていきます。
土が乾いたのを確認してから、2〜3日後くらいに水を与えるとちょうど良いでしょう。
肥料
ゴムの木は、肥料を与えなくても元気に育ってくれます。
真夏や休眠期の冬季、植え替え後には肥料は不要です。
肥料が多すぎると、幹が伸びていくばかりで弱々しくなりがちです。あまり見映えが良くないばかりか、幹の弱さによっては支柱が必要になってしまいます。
肥料の与え過ぎ以外にも、日照不足も考えられますが、結局のところゴムの木にとっては日光浴がいちばん効果的な肥料でしょう。
肥料を与える場合には、生育期の4〜9月頃に、即効性の液体肥料を2週間に1回ほどのペースで与えていきます。
剪定
ゴムの木のお手入れには、剪定作業も重要です。
枝や葉が混み合っていたり伸びすぎていたりすると、全体にまんべんなく日光が当たらなかったり、蒸れることにより害虫が発生するリスクも高まります。
全体のバランスを見つつ、樹形を整える意味でも剪定をしておきましょう。新芽のすぐ上の枝を切るようにすると、切り口から新芽が出やすくなります。
剪定時には白い樹液が出てくるため、必ず手袋やエプロンなどを着用のうえ作業をしてください。
まとめ
今回は、観葉植物の中でも特に人気がある、品種が豊富に揃ったゴムの木について、メジャー品種や基本的な育て方などをご紹介してきました。
次々と新しい品種が誕生しているゴムの木は、見た目の美しさのみならず育てやすさや丈夫さも兼ね備えている、まさしくインドアグリーン向きの観葉植物です。
ユニークな姿や個性的なフォルムのものもあるので、お気に入りの品種を探すだけでも楽しい観葉植物となっています。
どんなお部屋のテイストにもマッチするので、インテリアグリーンをお探しの方は育てやすいゴムの木から挑戦してみてはいかがでしょうか。