観葉植物の病気とは?症状別の診断とトラブル対策について
観葉植物を育てていると、葉が変色したり元気が無くなったりなどの異変を感じたことはありませんか。それらは観葉植物がなんらかの病気にかかっているサインかもしれません。
カビや細菌によって病気を発症すると、葉が変色し観葉植物全体が枯れてしまうことも。
しかし、観葉植物の病気は、早期発見することで対策できるものもあります。
早期発見と適切な対策で回復することもあるので、日頃の細かな観察を忘れないようにしましょう。
この記事では、観葉植物がかかりやすい病気とその対策法についてご紹介します。
観葉植物も病気になる?
植物が病気になるというと、屋外で育てられている作物や花などのイメージが強いですが、実は屋内で育てることの多い観葉植物も病気になることがあるのです。
その原因としては、乾燥や水のやりすぎなど、管理面によるものもありますが、中には空気中のウイルスや細菌によって引き起こされるものも存在します。
どんな病気にかかっているかによって、観葉植物にあらわれる症状もさまざまです。
もし観葉植物の元気がなかったり、葉の色に異変がある場合は、病気にかかっている可能性があります。
しかし、観葉植物が病気にかかってしまっても、早期発見と対策によって回復することもあるので、日頃から様子を細かくチェックしておくことが大切になるでしょう。
基本的な管理によるトラブル
まずは、ウイルスや細菌などによるものではなく、日常のお世話の仕方によって引き起こされる病気からご紹介します。
これらの症状は、すぐに病気が進行するわけではなく一時的な異変であることが多いのですが、気付かずに放置してしまうと、観葉植物が枯れる原因にもなるでしょう。
次のような症状が出てきたら、観葉植物が元気を取り戻せるように管理方法を見直してください。
葉が枯れて茶色くなっている
観葉植物の葉が枯れたり茶色くなっている場合は、水不足であることが考えられます。
水やりの程度は観葉植物の種類によって異なるので、それぞれに最適なサイクルで水やりを行いましょう。
もし適切な水やりを行っているにもかかわらず、葉がカサカサに乾いているようなら、エアコンの風が直接当たっていたり、暖房器具との距離が近すぎていたりしていないかなど、置き場所を見直してみましょう。
乾燥が気になる季節は、霧吹きなどでたまに葉水を与えるのも効果的です。
葉が黒くなっている
葉の一部や全体が黒く変色している場合は、日光による葉焼けの可能性があります。
植物は基本的に太陽の光を好みますが、観葉植物によっては刺激が強く、直射日光に当たりすぎると葉が焼けてしまうことがあるのです。
特に、それまで部屋の暗い場所に置いていた観葉植物を急に明るい場所へさらすと、この現象が起こることがあります。
観葉植物を日光に当てるときには、レースカーテンなどで直射日光を遮れる場所に置くのがおすすめです。
葉が簡単に落ちる
葉がぽろぽろと簡単に落ちたり茎が枯れたりする場合は、根腐れや根詰まりの可能性があります。
これらは、水のやりすぎや、鉢の中で根がいっぱいになることで、根に菌が浸食していって引き起こされるものです。
根詰まりの場合は、水はけが悪くなるという症状もあらわれます。このとき、鉢植えの土から異臭がすることもあり、それが原因で害虫が発生することもあるので注意が必要です。
もし根腐れや根詰まりを起こしている場合は、鉢から出して根の悪い部分と周りの土を取り除き、一回り大きな新しい鉢へ、水はけのいい土を用いて植え替えましょう。
虫がついている
観葉植物につくことの多いカイガラムシ、葉ダニ、アブラムシなどは、観葉植物を枯らしてしまうほどの影響はありませんが、葉から汁を吸い取ってしまうので、その部分が変色したり腐ってしまうことはあります。
また、室内で育てることの多い観葉植物に虫がついていると衛生的にもよくありません。
観葉植物に害虫がついていたら、乾いた布や歯ブラシなどでこすって取り除きましょう。
広範囲であれば薬剤を利用して駆除することも効果的です。
害虫は葉の乾燥によって発生することが多いので、定期的に霧吹きなどで葉水をしてやると発生を抑制できます。
【症状別】観葉植物から異臭がするときの病気
ここからは、観葉植物にあらわれた異変から、原因となった病気を探っていきます。
観葉植物の様子がおかしいけれど、病名や原因が分からないという場合は参考にしてみてください。
まずは、観葉植物から異臭がするときに考えられる病気から解説します。
可能性のある病気は2つで、軟腐病と根腐れです。それぞれの特徴、予防と対策について見てみましょう。
軟腐病(なんぷびょう)
軟腐病は、5月〜9月の高温多湿の時期に発生しやすい病気で、土の中の細菌であるバクテリアが植物内に侵入することで引き起こされます。
細菌が繁殖することで、観葉植物の茎の管をふさいでしまい、水分や栄養分が全体に行き渡らなくなることで植物全体を腐らせてしまうのです。
腐敗が進むと黒褐色に溶けて異臭を放つこともあります。
予防と対策
バクテリアは観葉植物の茎や葉の傷口から侵入していくので、葉を食べたり汁を吸う害虫が発生したら速やかに駆除してください。
また、この病気は薬剤が効きにくいので、腐食してしまった部分は切り取って破棄するのが一般的です。
その場合、その傷口から新たな感染を引き起こさないよう、ハサミやカッターなどは消毒してから使用しましょう。
根腐れ
上記の「基本的な管理によるトラブル」でも解説した根腐れも、進行すると異臭を放つようになります。
根腐れの原因は、水のやりすぎや根詰まりによる土の中の酸素量減少や細菌の繁殖です。
根から始まる病気ですが、そのまま放置していると幹や葉が枯れてしまうので注意が必要でしょう。
予防と対策
根腐れは水のやりすぎによって引き起こされるため、水やりの頻度を減らして、土がしっかり乾いてから与えるようにします。
症状が改善されない場合は、水はけのよい土に植え替えることも有効です。
根詰まりを起こしている場合は、悪くなっている根を取り除き、一回り大きな鉢に植え替えましょう。
【症状別】葉が白いときの病気
葉の一部が白くなっていると気付いたときは、うどんこ病の可能性があります。
単なるホコリやゴミと見間違いやすいのですが、放置すると観葉植物が枯れてしまう原因にもなるので注意しましょう。
うどんこ病の症状と対策について詳しく解説します。
うどんこ病
うどんこ病は、植物の葉に白い粉をまぶしたように見えることからこの名がつきました。
5月〜6月、9月〜10月の気温が高く湿度が低い時期に発生しやすい病気で、原因となるのは土壌や落ち葉に潜んでいるカビです。
うどんこ病にかかってしまうと、白いカビで葉が覆われ光合成ができなくなるので、やがて枯れてしまいます。
予防と対策
うどんこ病は、日頃から日当たりと風通しのいい場所に置き、窒素を多く含む肥料を与えることで発生を抑制できます。
うどんこ病のカビの胞子は、風に乗って他の植物に伝染することがあるので、発見したら隔離して、悪くなっている部分を取り除きましょう。
病気の初期であれば、重曹や酢を水に溶かしたものを散布することで回復する場合もあります。
【症状別】葉に斑点が出る病気
植物が病気にかかっているサインとして多いのが、葉に斑点が出ている状態です。
初期では目立たなくても、みるみるうちに広がって、そのまま観葉植物が枯れてしまう恐れもあります。
ほとんどの病気が早期発見・対策によって被害を最小限に食い止めることができるので、水やりの際に葉に異常がないかをよく観察しておきましょう。
炭そ病
炭そ病は、多くの植物が被害に合いやすい病気で、炭そ病菌というカビによって引き起こされるものです。
葉に黒褐色の斑点が出現し、だんだんと広がりやがて葉に穴を開け、植物を枯らしてしまいます。
予防と対策
高温多湿によってカビが繁殖してしまうことが原因なので、植物を適度に剪定するなどして風通しをよくしておくことが予防になります。
すでに病気にかかってしまった部分は回復しないので、切り取って処分しましょう。
その後、さらなる拡大を防ぐために殺菌剤などを散布しておくと安心です。
ベト病
ベト病は、気温20度前後の多湿環境で発生することが多い病気で、卵菌というカビによって引き起こされるものです。
この病気にかかった部分は、乾燥しているときはパリパリした印象ですが、多湿になるとベタベタした感触になるのが特徴的。
病気の初期段階では、葉に黄色の斑点がいくつか見られる程度ですが、気付かずにいるとあっという間に全体を枯らしてしまいます。
予防と対策
多湿状態によってかかりやすくなるので、葉や茎を適度に剪定して風通しをよくしておくことと、室内では除湿器などを使用して湿度が高くなりすぎないように管理しましょう。
もし病気にかかってしまったら、悪くなった葉を取り除きます。
その後、薬剤や木酢液などを散布して病気の拡大を抑えてください。
黒星病
黒星病は、葉に墨汁がにじんだような黒い斑点が発生するのが特徴で、土の中に潜む糸状菌と呼ばれるカビによって引き起こされるものです。
最初は小さな斑点ですが、病気の進行と共に拡大し、やがて葉を落としてしまいます。
気温が20度前後かつ多湿の環境で発生しやすい病気です。
予防と対策
過湿にならないよう、風通しのいい場所で管理するのがポイントです。
病気にかかってしまった部分は回復することはないので、被害を広げないためにも切り取らなければなりません。
その後、薬剤などを散布すると安心です。
赤星病
赤星病は、観葉植物の葉に橙黄色や赤橙色の斑点が広がっていくのが特徴的で、さび病菌というカビに感染することで引き起こされる病気です。
葉の裏側には、毛羽のような丸い病斑が発生します。病気にかかった葉は枯れてゆき、その後植物全体を腐らせてしまうのです。
予防と対策
このサビ病菌は、ビャクシン類の植物を中間宿主として寄生し、他の植物へ感染させていくものです。
ビャクシンを保持している場合は、他の植物との距離を保つことが大切です。
病気にかかってしまった葉は、被害拡大を防ぐために速やかに切り取りましょう。
斑点病
斑点病にかかると、観葉植物の葉に小さな褐色の斑点がぽつぽつと発生します。
湿度が高くなる梅雨時期にかかりやすいのですが、すぐに進行するわけではなく、冬を越して春になってから葉を枯らします。
病気の進行がおそいため、そのまま気付かない恐れがあるので注意が必要です。
斑点病の原因は、細菌とカビの2パターンがありますが、斑点の入り方の違いで見分けることができます。
じんわりとにじんだような斑点は細菌によるもので、はっきりとした斑点で葉の裏側にカビが発生している場合は、カビによるものです。
予防と対策
窒素成分の多い肥料を与えすぎると、斑点病を引き起こす原因になるので適量にとどめましょう。
病気にかかってしまった部分はていねいに切り取り、初期段階であればオーソサイド水溶液などの薬剤を散布するのが効果的です。
褐斑病(かっぱんびょう)
観葉植物が褐斑病にかかると、葉に褐色の小さな斑点が発生し、しだいに広がってやがて黒い粒を成形し、葉に穴を空けて枯らしていきます。
気温25〜30度で多湿の、梅雨のような時期にかかりやすいので、高温で土が蒸れている状態のときには注意が必要です。
予防と対策
高温多湿になる時期には、適度な剪定をして風通しをよくしておきましょう。
日当たりのいい場所で管理することも効果的な予防になります。
もし病気にかかってしまったら、感染拡大を防ぐためにその部分を切り取って処分してください。
【症状別】観葉植物全体の元気がないときの病気
観葉植物の元気がなかったり、しおれたり枯れている場合は、以下のような病気が考えられます。
病気が観葉植物全体に広がってしまっている場合、対策を施しても回復する可能性は低いので、処分しなければならないこともあるかもしれません。
せっかく育てた観葉植物が枯れてしまうことのないよう、日々しっかりと観察してあげましょう。
灰色カビ病
灰色カビ病は別名「ボトリチス病」とも呼ばれている病気で、感染すると観葉植物の葉や茎に水が染みたような斑点が出てきます。
病気が進行するとその斑点がしだいに大きくなり、やがて全体を灰色のカビが覆い、観葉植物を腐らせてしまうのです。
予防と対策
灰色カビ病は、空気感染する恐れがあるため、病気になっている部分はすみやかに切り取って処分しましょう。
初期症状のうちは薬剤を使用することで感染拡大を防ぐことができますが、病気が全体に広がっている場合は観葉植物を処分しなければなりません。
また、枯れた葉や花は病原菌の温床になってしまうので、こまめに摘み取って清潔にしておきましょう。
青枯病(あおがれびょう)
観葉植物が青枯病になると、葉の色は青々としているのに、全体がしおれて元気がないような印象になります。
気温と湿度が高い時期にかかりやすく、根や葉の傷口からカビが侵入して茎の管をふさいでしまう病気です。
この病気にかかると、日中はしおれているのですが、夜間は元気を取り戻すので、病気に気付かないことが多いのが特徴となっています。
予防と対策
青枯病を予防するには、土の温度の上昇を抑えるのがポイントです。
あらかじめ熱を発散させやすい素焼きの鉢に植えておくと、病気にかかる可能性が低くなります。
しかし、青枯病にかかると回復する見込みはないため、すみやかに抜き取って処分しましょう。
すす病
すす病は、すす病菌というカビが葉や茎について繁殖することで引き起こされる病気で、発症すると、観葉植物の葉や茎が「すす」を振りかけたように黒ずんでいきます。
この病気の原因は、観葉植物につきやすいアブラムシやカイガラムシなどの害虫の排泄物に、すす病菌が引き寄せられることで、その排泄物を栄養にしてカビが繁殖していくのです。
予防と対策
すす病菌を引き寄せないようにするには、アブラムシやカイガラムシなどの害虫対策をすることが効果的です。
害虫がつかないように風通しのよい環境で育て、もし害虫がついてしまったらすぐに駆除しましょう。
既にすす病になってしまった部分は、切り取ってしっかり処分してください。
観葉植物が病気にならない為の予防
観葉植物が病気になってしまうと、その部分が回復する可能性は低く、切り取ったり全体を処分したりしなければなりません。
愛情をこめて育てていた観葉植物を処分するのは悲しいものです。
観葉植物がかかりやすい病気は、高温多湿や害虫などによって引き起こされるものが多いので、病気になりにくい環境の中で育てることが大切でしょう。
最後に、観葉植物の病気を予防し、被害を最小限に食い止めるポイントをご紹介します。
日頃からよく観察する
植物が病気にかかっている時は、なんらかの異変が見られます。
元気がない、水はけが悪い、異臭がする、葉が変色しているなど、いつもと様子が違う場合は病気を疑ってみましょう。
異変が小さいと気付きにくいこともあるので、日頃から水やりのタイミングで葉や茎の状態をよく観察しておくことが大切です。
風通しをよくする
蒸れたり風通しの悪い状況では、カビや細菌が繁殖しやすくなり、病気になる可能性も高くなります。
植物が成長して茎や葉が密集してきたら、適度に剪定して空気の通り道をつくっておきましょう。
梅雨シーズンなど多湿になりやすい時期は、サーキュレーターなどを利用して空気を循環させると効果的です。
予防殺菌剤を塗る
しっかりと病気を予防したいのであれば、観葉植物用の予防殺菌剤を散布するのがおすすめです。
2〜3カ月に1回程度、定期的に散布しておくことで病気や害虫の発生を防ぐことができます。
このとき、観葉植物の葉や茎だけでなく、鉢や土にも散布することで、より高い殺菌効果を期待できるでしょう。
この予防殺菌剤は、病気の予防にはなりますが、すでに病気にかかっている植物の治癒はできないので、その場合は切り取ったり処分することも必要になります。
まとめ
今回は、観葉植物がかかりやすい病気と、その対策方法についてご紹介しました。
室内で育てることの多い観葉植物は、病気にかかりにくいイメージがありますが、気付かずにいると、観葉植物が枯れてしまう事態にもなりかねません。
大切に育ててきた植物が病気にならないように、水やりや置き場所など、植物に合った世話をしましょう。
常日頃から観葉植物の葉や茎の状態をチェックし、病気の早期発見・対策に努めてくださいね。